国立市議・矢部あらたのブログ

国立市議会議員(日本共産党)矢部あらたのブログです。活動報告や日々のことについて更新します。

議員団ニュース『明るい国立』1722号(2024年4月14日号)

明るい国立社が発行する、日本共産党国立市議団の議員団ニュース『明るい国立』の内容を、そのままご紹介します。『明るい国立』はしんぶん赤旗日刊紙・日曜版への折り込みのほか、街頭宣伝の際の配布などでどなたにもご覧いただけます。

【紙面】

【表・裏面】

2024年度各予算案への討論(3月議会最終本会議) 賃金も年金も上がらず物価は高騰 いま自治体の役割が問われる

3月22日の最終本会議で、矢部あらた議員が行った24年度各予算案に対する討論は、以下の通りです。

 日本共産党を代表して、2024年度一般会計予算案、介護保険特別会計予算案、後期高齢者医療特別会計予算案に反対国民健康保険特別会計予算案と下水道事業会計予算案に賛成の立場で討論を行います。

《国の無策と自治体の役割》

 厚生労働省が今月(3月)7日に発表した勤労統計によれば、実質賃金は22ヶ月連続で減少しており、引き続く物価の高騰に、賃上げがまったく追い付いていないことが示されています。春闘で「満額回答」「大幅ベア」の報道が相次ぎますが、大企業の内部留保は528兆円にも膨れ上がっている一方で、職務ごとに大きな傾斜がつけられた見かけ上の「大幅賃上げ」に過ぎないケースや、下請けいじめの実態が明らかになるなど、大企業の社会的責任が問われるなか、中小企業を含めたサプライチェーン全体へ賃上げの波が及ぶかどうかは未知数と言わざるをえません。また民間シンクタンクの調査によれば、2人以上の世帯における今年度の年間家計負担は、3年前と比べおよそ28万円増えるとされます。国民の暮らしがますます厳しくなっていくことは一目瞭然です。一方で岸田政権による2024年度政府予算は、さらなる大企業優遇税制を推し進める一方で、税収の最も大きな内訳を、零細事業者や生活の苦しい世帯に大きな負担を強いる消費税が占めています。軍事費を8兆円近く計上し10年連続で過去最大としながらも、社会保障費を躍起になって圧縮し、暮らしを守る政治に背を向けています。今こそ、地方自治体の役割が大きく問われます。

給食費無償化へ踏み出せ

 国立市一般会計予算案において、まず目を引くのは、東京都内でも着実に広がっている学校給食費の無償化を行わないことです。東京都予算では、無償化を行う自治体に対する半額の補助が盛り込まれました。多子世帯などへの一部補助や、24年度中の実施予定などを含めれば、多摩26市中14市が無償化へと踏み出しています。国立市でも給食費負担は1人当たり年間約5万円、子育て世帯にとって大きな負担です。他市より幅広い就学援助対象者への補助や、物価高騰分の補填は評価できるところではありますが、先ほど述べましたように、家計負担が28万円増とも言われる今こそ、無償化を行うべきときです。多子世帯や一定の学年、小・中いずれかのみなど、対象を限定した段階的な実現も視野に入れるべきです。

《予算案にはPFAS汚染対策も無し》

 有機フッ素化合物、PFASによる地下水汚染の対策も見受けられません。こちらも東京都の予算で、半額補助のもと調査が可能です。国立市の姿勢は「都の広域的な調査を踏まえるのが然るべき方向」とのことですが、地元住民の不安と疑念に応え、命と健康を守る措置を自治体が率先して取って、困ることはありません。市内の湧水や防災井戸等における汚染状況の調査、データの蓄積は、汚染源の特定、原因の究明にあたって必ず有用です。風評被害を防ぐための発信もしないまま「風評被害を煽る」と実態調査から目を背けることは認められません。実態調査と原因究明、そして風評被害対策も併せた情報の公開・発信を、市として率先して行うべきです。

南武線高架化とワンセットの計画は無理筋》

 南武線立体交差化の素案が示され、これを踏まえたまちづくりが視野に入れられています。本予算案では都市計画道路3・4・14号線整備事業費が計上されていますが、これ以外にも3・3・15号線や矢川駅周辺整備など、東京都、国立市、それぞれの管轄をまたいださまざまな事業が立体交差化と「一体として」見据えられている状況です。もちろん、まちづくりにおいては広域的な連関を踏まえた視点が欠かせないことはある程度理解いたしますが、あれこれの計画を無理に一体として進めようとすれば、例えば地域の方々の合意形成ができていない計画があるために、ニーズが一致した喫緊の課題解決のための整備が遅れてしまうことや、逆に何か一つの計画の目処が立った途端、芋づる式に住民合意を置き去りにした強引なまちづくりが進められてしまう懸念もあります。環境整備、道路、立体交差化、それぞれ各論での丁寧な調査検討、意見聴取は不可欠であると訴えます。

《教育への思い切った投資は必要不可欠》

 今回の議会では、フルインクルーシブをめぐっての議論が紛糾しました。我が党は、「誰もが安心して共に学ぶ権利を保障する」「通常学級の包摂性を高めていくプロセスを推進し実現する」こうした取り組みにはぜひ力を注いでいきたいと考えています。ただ形式的に「現状でも普通学級を選ぶ自由がある」というのは「権利の保障」とは程遠い問題です。学ぶ権利の保障をさらに推進する取り組みは、ぜひ積極的に進めていきたいと考えます。

 しかし、そうした理想を実現するためには、思い切った教育への投資が必要不可欠です。予算案でも、35人学級導入のための環境整備や人員の拡充が進められていますが、包摂性を高めるという観点から見れば、まだ課題は山積しています。これらの措置は、教職員の方々の過重労働を解消するためにも欠かせません。有志の教育研究者たちが訴えた「教員の長時間勤務に歯止めをかけ、豊かな教育の実現を求める」署名には18万を超えた署名が集まっています。政府や東京都の広域的な措置を求めることと合わせて、教育現場を豊かで魅力ある職場にするため、そして何より、すべての子どもが、自分らしく学び育つ権利を保障するための基盤の整備に、さらに注力するよう求めます。

《共助偏重でなく、公助を支える施策を》

 昨年、2023年の12月議会における「しょうがい児が18歳になった後の夕方の居場所を求める陳情」の審査過程でも浮き彫りになり、私たち日本共産党も再三指摘しているように、介助者・介護者の人手不足は深刻です。地域の方々の支え合いを支援していくという方向での取り組みももちろん大切ですが、人の命と安全、尊厳のある暮らしに責任を持つプロフェッショナルを育成するという観点での施策も、さらなる推進が必要です。弱い立場に置かれやすい方々への直接の支援、環境の整備だけでなく、介助・介護をする人が誇りを持って働ける、そうした仕組みを整えていくよう求めます。

《温暖化対策の計画は練り直すべき》

 気候危機への対策は、極めて不十分ながらも一定の前進を見せたと評価できます。60パーセント以上の温室効果ガス削減目標に向けて、省エネ化やスマートエネルギー化への補助額や対象の拡大を、市民の方が一歩踏み出すきっかけとして活かしていただきたいと思います。一方で政府は原発活用を「国の責務」と位置付け、原発推進に前のめりです。現在市が策定を進めている温室効果ガス削減目標も、原発の大規模な再稼働を前提としたものとなっています。国のエネルギー政策に左右されることは一定程度仕方のないこととも言えますが、原発依存でない形や、国が化石燃料から脱却できなかった場合の施策を数多く用意しておくべきです。また、実施計画では向こう4年間の取り組みが、わずか2項目のコピー&ペーストとなっている点も指摘しなければなりません。先に述べた、国の取り組みが進まなかった場合の備えも含めて、いま一度目的と照らし合わせながら課題を細かく分析するよう求めます。

《国の無策を市民負担に転化するな》

 介護保険特別会計後期高齢者医療特別会計は、賃金、年金が上がらないまま物価が上がり続けている中、更なる負担増を前提とするものです。賃金と物価に関しては冒頭述べたとおりですが、年金生活者においても、一年あたりの実質可処分所得は12年前と比べて23万円も下がっています。制度の改善と国費の投入を抑え続ける政府に最も大きな責任があるのはもちろんですが、そのしわ寄せを市民の負担に転嫁するこれら二会計にも反対を表明して、討論を終わります。

 

【奥付】

明るい国立 2024年4月14日(日)

発行番号:1722号

発行元:明るい国立社

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